清酒「分福」「男一心」醸造元・分福酒造株式会社

清酒の保存

清酒の保存について

お酒を長期間保存する方法がなかったころは、造られた清酒は、すぐに飲まれました。しかし、室町時代には酒を加熱すると、日持ちすることが発見されました。これは、火入れといい、現在 も行われている加熱殺菌法です。
江戸時代には、寒造りが一般的になり、春から初夏にかけて火入れをした酒を、秋に「冷やおろし」として賞味することが広まりました。現在でも、生酒などを除く、多くの清酒は搾った原酒を6ヵ月から1〜2年、タンクの中で熟成させてから壜詰されます。
搾りたてで香味の若いお酒が、適度な熟成によってバランスのとれたお酒に変化していきます。故に貯蔵は「第二の造り」などと言われ、しっかりと管理しなければいけません。

市販酒は、貯蔵してあるお酒のなかから、ちょうど飲み頃となったものを詰めていますので、その後の熟成は品質の劣化につながります。
現在、清酒はサリチル酸などの防腐剤を一切使用していないため、瓶詰後も熟成は進み、味は変化します。
保存状態が悪いと、味・香りに悪影響を及ぼします。
「老ね香(ひねか)」「日光臭」あるいは「ビン香」といった言葉を聞いたことがあると思います。これは劣化に伴う特異な香りで、清酒本来の香りではありません。
「老ね香」は、清酒が過度に熟成したときにでてくる香りです。 「老ね香」の発生には温度が大きく関与しており、貯蔵温度が低いほど、その発生を抑えることができます。
「日光臭」は、清酒に日光が当たったときに生じる不快な香りです。透明壜に入った清酒を数時間、直射日光に当てるだけで発生してきます。
また「ビン香」と呼ばれる劣化臭もありますが、これは最近では「日光臭」や「老ね香」などの混ざり合った香りだとわかりました。

このような香りの変化と共に、着色にも注意が必要です。
新しい、ほとんど無色の清酒でも、時間と共に黄褐色に変化していきます。これは清酒に含まれるアミノ酸とブドウ糖が反応して、着色物質ができるからです。
ですから、低温で清酒を貯蔵するほど、着色を抑えることができます。また、温度だけでなく、光でも着色します。直射日光のような強い光は、短時間に清酒を着色させてしまいます。 このように保存状態の悪い清酒は、香りが悪くなり、色も変化しますが、さらに、味の面でも、雑味や苦味が増えて、本来の おいしさが損なわれてしまいます。

《蔵元コメント》
このような理由により、清酒をご購入後はできるだけ早くお飲みいただくことをお勧めしますが、保存される場合は、冷蔵庫(一番よいのですが)または冷暗所にし、できるだけ3ヶ月以内でお飲 みください。
常に清酒本来のおいしさを楽しんでいただけるよう、お願いします。